景況感は悪化するも、先行きは回復の兆しも!
−2014年7月〜9月期 中小企業景況調査報告書概要−

 

 日銀が10月1日に発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(D・I)は、大企業・製造業で前回6月調査より1ポイント改善しプラス13となった。D・Iの改善は2四半期(半年)ぶりのことである。ただし、16業種中、改善は7業種、悪化は7業種と景況感にばらつきが出ている。大企業・非製造業のD・Iはプラス13と前回から6ポイント悪化した。消費税の税率アップに加えて、夏場の天候不順の影響が響き、小売や対個人サービスなど消費に関連する業種の悪化が目立った。一方、中小企業・製造業では、前回6月調査より2ポイント悪化しマイナス1と、2013年9月以来4四半期ぶりにマイナスとなった。非製造業も2ポイント悪化して±0となっている。
 3か月後の先行きの見通し(本年12月予測)は、大企業・製造業がプラス13と今期と同水準、非製造業はプラス14と1ポイントの改善予測にとどまっている。消費増税の影響を慎重にみているほか、円安による輸入コストの増加を懸念する企業もある。中小企業においては、製造業が1ポイント改善し±0となる見通しだが、非製造業は1ポイント悪化しマイナス1となっている。
 内閣府が9月19日に発表した9月の月例経済報告においては、国内景気の基調判断を「景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」と今年4月以来、5か月ぶりに下方修正した。特に個人消費について、「駆け込み需要の反動も徐々に緩和してきているものの、天候の影響もあってこのところ持ち直しの動きに足踏みが見られる」と指摘し、判断を弱めた。ただ、労働市場の回復が続いており、雇用・所得環境が改善されているため、「緩やかな回復基調が続いている」との見方は変えなかった。先行きについては、「雇用・所得環境が改善していることから、持ち直していくことが期待される」としているが、「反動からの持ち直しは、品目によってなおばらつきが見られることなどから、反動が長引く懸念にも留意が必要」としている。
 商工会地域の景況調査においては、今期(2014年7月〜9月期)の業況に関するD・I値は、マイナス幅が小さい順に、建設業マイナス20.0、サービス業がマイナス31.4、製造業がマイナス33.3、小売業がマイナス44.7となっている。サービス業だけが、前期から3.8ポイント改善させマイナス31.4となっている。小売業は前期より7.2ポイント悪化させマイナス44.7と2011年4月〜6月以来マイナス40を超えてしまった。
 来期(2014年10月〜12月期)の業況予測については、製造業が14.8ポイント、小売業が10.4ポイント、建設業も5.0ポイント改善するとしている。今期、改善したサービス業だけが2.6ポイントとわずかであるが悪化すると予測している。
 今期の商工会地域の景況感は、地域性や規模なども反映してか日銀短観や月例経済報告より厳しいものとなっている。ただ、先行きについては、日銀短観や月例経済報告のように明るい兆しが見える部分もあり、それが実現・実感できることを期待する。

(中小企業診断士 橋本大輔)

業界天気動向図

項目 売  上 採算(経常利益) 資金繰り
   年

      月

業 種
H25
10

12
H26
1

3

4

6

7

9
H25
10

12
H26
1

3

4

6

7

9
H25
10

12
H26
1

3

4

6

7

9
製造業
建設業
小売業
サービス業


各項目については次により表示した。
区 分 増 加 やや増加 横ばい やや減少 減 少 大幅に減少
好 転 やや好転 やや悪化 悪 化 非常に悪化
DI値(前年同期比) 20.1〜 5.1〜20.0 5.0〜△5.0 △5.1〜△20.0 △20.1〜△35.0 △35.1〜
表 示
快晴

晴れ

曇り

小雨


豪雨


今期直面している経営上の問題点

製造業 1位 2位 3位 4位
1位にあげる
問題点
需要の停滞 製品(加工)単価の
低下、上昇難
生産設備の
不足・老朽化
製品ニーズの変化、原材料価格の上昇
  20.8 30.8 12.5 23.1 12.5 15.4 -- 7.7
建設業 1位 2位
1位にあげる
問題点
官公需要の停滞 材料価格の上昇、請負単価の低下、上昇難、取引条件の悪化、民間需要の停滞
  5.6 23.5 -- 11.8
小売業 1位 2位 3位
1位にあげる
問題点
購買力の他地域への流出、需要の停滞 店舗の狭・老朽化、仕入れ単価の上昇 大型店・中型店の進出による競争の激化
  -- 19.5 -- 12.2 -- 10.3
サービス業 1位 2位 3位 4位
1位にあげる
問題点
材料等
仕入単価の上昇
需要の停滞 利用者ニーズの変化 新規参入業者の増加、利用料金の低下、上昇難
  11.1 25.0 24.1 21.2 7.4 13.5 -- 9.6
(数値の左は前期構成比、右は当期割合を%で記す)