景況感に回復の兆しが見えるが、円高等の影響で先行きは不透明!
−2011年7月〜9月期  中小企業景況調査報告書概要−

 

 日銀が10月3日に発表した9月の短観によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業の
製造業がプラス2となっている。
東日本大震災の影響を完反映させ前回調査のマイナス9から11ポイント上昇し大きく改善している。
大企業の非製造業もプラス1となっており、マイナス5から6ポイント上昇し、こちらも2期ぶりにプラスに
転換した。
一方、中小企業の製造業では、マイナス11と前回調査から10ポイント上昇、非製造業では、マイナス19と
7ポイント上昇し、いずれも改善しているが、大企業の数値と比較するとまだまだ厳しい状況が続く。
 3か月後の先行きの見通しは、大企業の製造業がプラス4と、円高等の影響もあり小幅な改善にとどまり、
非製造業ではプラス1と現状維持となっている一方、中小企業においては、製造業が1ポイント下落し
マイナス12、非製造業が2ポイント下落しマイナス22と見込んでおり、大企業に比べて中小企業の景況感は
厳しい。
 内閣府が9月20日に発表した月例経済報告においては、国内景気の基調判断を,
「景気は東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの、持ち直している」
と据え置いているが、海外経済については、「緩やかな回復」から「回復力が弱まっている」と下方修正している。
国内景気の項目別の現状判断は、歴史的な円高を受けて、企業収益は「増勢が鈍化している」から
「減少している」に下方修正されている。
 商工会地域の景況調査においては、業況に関するD・I値は、前期比で製造業、建設業、小売業が改善している。しかしながら、サービス業は大幅に悪化させている。
来期の業況予測については、今期に比べて建設業、小売業、サービス業が改善すると予測しているのに対し、製造業は17.3ポイントと大幅に悪化すると予測している。



業界天気動向図

項目 売  上 採算(経常利益) 資金繰り
   年

      月

業 種
H22
10

12
H23
1

3

4

6

7

9
H22
10

12
H23
1

3

4

6

7

9
H22
10

12
H23
1

3

4

6

7

9
製造業
建設業
小売業
サービス業


各項目については次により表示した。
区 分 増 加 やや増加 横ばい やや減少 減 少 大幅に減少
好 転 やや好転 やや悪化 悪 化 非常に悪化
DI値(前年同期比) 20.1〜 5.1〜20.0 5.0〜△5.0 △5.1〜△20.0 △20.1〜△35.0 △35.1〜
表 示
快晴

晴れ

曇り

小雨


豪雨



今期直面している経営上の問題点

製造業 1位 2位 3位
1位にあげる問題点 需要の停滞 製品加工単価の
低下、上昇難
生産設備の不足・老朽化、原材料の不足、
金利負担の増加、事業資金の借入難
  41.4 40.0 20.7
16.7 -
6.7
建設業 1位 2位 3位 4位
1位にあげる問題点 民間需要の停滞 請負単価の低下、上昇難、官公需要の停滞 取引条件の悪化 大企業の進出による競争の激化など
  25.9
36.0
-
16.0
3.7
8.0
-
4.0
小売業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 需要の停滞 大型店、中型店の進出による競争の激化 購買力の他地域への流出 消費者ニーズの変化、店舗の狭隘・老朽化、
販売単価の低下、上昇難
  26.3 28.2
15.8
23.1
18.4
10.3
-
7.7
サービス業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 需要の停滞 利用者ニーズの変化 材料等仕入れ単価の上昇 利用料金の低下、上昇難 新規参入業者の増加等
  31.2
30.4
16.7
21.7
12.5
10.9
14.6
8.7
6.5 8.3

(数値の左は前期構成比、右は当期割合を%で記す)


【円高対策について!】
欧米経済の停滞やヨーロッパの債務危機問題等もあり、歴史的な円高水準となっている。
7月に1ドル80円を割った後も上がり続け、9月にはドル76円台に突入した。
円高の急激な進行や高止まりは、景気を悪化させる大きな要因となるとともに製造業を中心とした企業の
海外進出を促し、産業の空洞化をもたらしかねない。
このような状況の中、政府は、9月20日に「円高への総合的な対応策」(中間報告)を発表し、基本的な考え方と具体的対応策を打ち出した。
具体的な対応策の「円高による痛みの緩和」として、円高に対応した雇用調整助成金の要件緩和や
セーフティネット保証の延長などの施策を講じている。
三重県でも円高対策緊急資金の継続や県・各支援機関に相談窓口を設置して対応している。
急激な円高の進行等により影響を受けている企業は、自社だけで悩まず、
先ずは商工会の指導員に相談し、施策等を活用しながら、生き残りを図っていただきたい。