景気に回復の兆しが見えるも、大震災の影響が懸念される!
−2011年1月〜3月期 中小企業景況調査報告書概要−

 

 日銀が4月1日に発表した2011年3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業の製造業で前回調査(2010年12月)のプラス5からプラス6に、非製造業はプラス1からプラス3となり、どちらも小幅ながら2期ぶりに改善している。中小企業も製造業がマイナス12からマイナス10と2ポイント改善し、非製造業もマイナス22からマイナス19と3ポイント改善している。4月4日に発表された東日本大震災の発生前後における直近の業況判断でも、バラつきはあるものの傾向にあまり大きな変化は見られない。しかし、先行き見通し(6月予測)では、大企業・製造業で震災前のプラス3に対し震災後はマイナス2になるなど総じて悪化しており、今後、震災の影響が現れると予想される。
 内閣府が発表した3月の月例経済報告での景気の基調判断は、「景気は、持ち直しに転じている」として据え置いたものの、「自律性は弱く、東北地方太平洋沖地震の影響が懸念される。」と指摘している。また、先行きについては、大震災の影響に十分留意する必要があると警鐘をならし、景気の下振れリスクに金融市場の変動や原油高などを新たに盛り込んでいる。
 商工会地域の景況調査においては、業況に関するD・I値は、前期比で製造業が6.4ポイント、建設業が3.5ポイント、小売業が9.8ポイント、サービス業も5.6ポイントと2期ぶりに全産業そろって改善している。来期(2011年4月〜6月期)予測については、今期に比べてサービス業が12.3ポイント、小売業が3.3ポイント改善すると予測しているが、一方、製造業で0.6ポイント、建設業が0.1ポイントと小幅であるが悪化すると予測している。



業界天気動向図

項目 売  上 採算(経常利益) 資金繰り
   年

      月

業 種
H22
4

6

7

9

10

12
H23
1

3
H22
4

6

7

9

10

12
H23
1

3
H22
4

6

7

9

10

12
H23
1

3
製造業
建設業
小売業
サービス業


各項目については次により表示した。
区 分 増 加 やや増加 横ばい やや減少 減 少 大幅に減少
好 転 やや好転 やや悪化 悪 化 非常に悪化
DI値(前年同期比) 20.1〜 5.1〜20.0 5.0〜△5.0 △5.1〜△20.0 △20.1〜△35.0 △35.1〜
表 示
快晴

晴れ

曇り

小雨


豪雨



今期直面している経営上の問題点

製造業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 需要の停滞 製品加工単価の
低下、上昇難
生産設備の不足・
老朽化
原材料の不足 製品ニーズの変化、
原材料価格の上昇、
事業資金の借入難等
  50.0 46.4 17.9 17.9 3.6 10.7 3.6 7.1 - 3.6
建設業 1位 2位 3位 5位
1位にあげる問題点 請負単価の低下・
上昇難
民間需要の停滞 官公需要の停滞、材料価格の上昇 取引条件の悪化
  38.5 29.6 19.2 18.5 - 11.1 7.7 7.4
小売業 1位 2位 3位 5位
1位にあげる問題点 大型店、中型店の
進出による
競争の激化
購買力の他地域への
流出
需要の停滞、
販売単価の低下、上昇難
消費者ニーズの変化、
店舗の狭隘・老朽化
  34.2 23.7 18.4 21.1 - 15.8 - 7.9
サービス業 1位 2位 3位 4位
1位にあげる問題点 需要の停滞 利用者ニーズの変化 利用料金の低下、
上昇難
新規参入業者の増加、
人件費以外の経費の増加
  38.6 32.6 22.7 17.4 6.8 15.2 - 6.5

(数値の左は前期構成比、右は当期割合を%で記す)


【BCP(事業継続計画)の策定を!】
 3月11日に発生した東日本大震災は、太平洋沿岸部を中心に甚大な被害をもたらした。多くの中小企業が被災し、いまだに事業再開の目処が立たない状況にあるところが多い。そのような状況の中、壊滅を免れた中小企業の中には、策定していたBCPを活かして早期復旧を果たしているケースがあるという。事前に、優先する中核事業の特定、事業拠点の代替地の準備、同業者との連携などに取り組んでいたことが功を奏し、損害を抑えつつ早期復旧を実現させているとのことである。今回の大震災を教訓に、各企業でも防災対策を講じるとともにBCPを策定し、いざというときに役立ててもらいたい。ない、BCP策定に関する詳細は、中小企業庁のホームページで紹介されているので参照されたい!
(中小企業診断士 橋本 大輔)