全産業とも業況判断が改善! しかし、先行きは不透明感が強い
−2010年7月〜9月期 中小企業景況調査報告書概要−

 

 日銀が発表した2010年9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・製造業で前回調査から7ポイント改善しプラス8に、大企業・非製造業も7ポイント改善しプラス2になった。一方、中小企業は製造業が4ポイント改善しマイナス14、非製造業が5ポイント改善しマイナス21となっている。ただ、来期の予測は、円高の進行など不透明感が強く、大企業、中小企業とも悪化するとみている。
 内閣府が発表した9月の月例経済報告での景気の基調判断は、景気の「持ち直し」を維持しているものの、輸出の鈍化や円高の進行などもあって、「自律的回復に向けた動きもみられるが、このところ環境の厳しさは増している。」と表現を大幅に変更している。
 商工会地域の景況調査においては、業況に関するD・I値は、小売業が26.1ポイント、製造業が17.6ポイントと大幅に改善。サービス業は5.1ポイント、建設業が5.0ポイントと小幅ながら改善し、全産業がそろって改善しており、景気の持ち直しに期待がもてる情勢となっている。
 しかし、来期(2010年10月〜12月期)予測については、製造業とサービス業が今期に引き続き改善すると予測しているのに対し、小売業と建設業は悪化すると予測している。円高や海外の経済情勢など懸念される事項も多く、先行きは依然として不透明と言わざるを得ない状況にある。



業界天気動向図

項目 売  上 採算(経常利益) 資金繰り
   年

      月

業 種
H21
10

12
H22
1

3

4

6

7

9
H21
10

12
H22
1

3

4

6

7

9
H21
10

12
H22
1

3

4

6

7

9
製造業
建設業
小売業
サービス業


各項目については次により表示した。
区 分 増 加 やや増加 横ばい やや減少 減 少 大幅に減少
好 転 やや好転 やや悪化 悪 化 非常に悪化
DI値(前年同期比) 20.1〜 5.1〜20.0 5.0〜△5.0 △5.1〜△20.0 △20.1〜△35.0 △35.1〜
表 示
快晴

晴れ

曇り

小雨


豪雨



今期直面している経営上の問題点

製造業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 需要の停滞 製品加工単価の
低下、上昇難
生産設備の不足・
老朽化
製品ニーズの変化
事業資金の借入難
-
  37.0 46.4 22.2 14.3 7.4 10.7 - 7.1 - -
建設業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 民間需要の停滞 請負単価の低下・
上昇難
材料価格の上昇 官公需要の停滞 大企業の進出による
競争の激化
事業資金の借入難
  23.1 25.9 26.9 22.2 7.7 14.8 7.7 11.1 - 7.4
小売業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 大型店、中型店の
進出による
競争の激化
需要の停滞 購買力の
他地域への流出
難消費者ニーズの変化 販売単価の
低下、上昇難
  28.9 26.3 15.8 21.1 15.8 18.4 13.2 13.2 13.2 7.9
サービス業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 利用者ニーズの
変化・需要の停滞
- 店舗施設の狭隘・
老朽化・材料等
仕入単価の上昇
- 利用料金の低下、
上昇難、その他
  - 23.3 - - - 14.0 - - - 7.0

(数値の左は前期構成比、右は当期割合を%で記す)


【下請取引ガイドラインの活用を!】
 下請取引においては、下請事業者が不利な扱いを受けている場合が少なくありません。これにより、下請事業者の生産性向上を阻害し、産業界の成長停滞。競争力低下を招きます。政府は、下請事業者の生産性向上のため、下請事業者と親事業者の"Win−Win"の関係づくりを目指し、理想的な取引や問題となり得る行為などを例示した下請ガイドラインを策定・周知し、適正取引の推進に取り組んでいます。もし、適正な取引形態になっていない場合は、下請ガイドラインを活用し、親事業者とともに取引改善に取り組み"Win−Win"の関係を作り上げていただきたいと思います。

【事業ドメインの再確認を!】
 現代社会は、環境の変化は目まぐるしく、顧客ニーズや価値観も多様化しています。そして、氾濫する情報の渦に巻き込まれ、自社の位置づけなどを見失ってしまい、経営危機に陥ることがあります。このような時こそ、初心に立ち返り「誰に、何を、どのように」という基本事項を自らに問いかけて、事業ドメインを再確認することが重要です。事業ドメインを改めて確認することで、自社の活動領域が明確になり、経営資源を適切に投下できるとともに、自社の進むべき方向が定まり、情報に流されない事業展開ができます。