みえ商工会だより

「景気回復」また遠のく、今後の推移が懸念される状況」
商工会地区の景況感再び悪化へ
−2007年4月〜6月期 中小企業景況調査報告書概要−
嘱託専門指導員 中川すみ子

 

 日銀が2日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感は横ばいながら日本経済は依然として緩やかな拡大を続けているとあります。しかし、商工会地域の景況調査においては下記の業界天気動向図に見るとおり、前期(2007年1月〜3月)より一段と厳しい状況であり、とりわけ製造業においては売上、採算、資金繰りともに集中豪雨に見舞われたような形になっています。
 今期設備投資を実行した企業割合も、他の産業に比べて高い傾向にある建設業が3.7%に留まり、製造業も計画値の半分近い実行値でした。小売業、サービス業は計画値を大幅に上回る実行値となっています。
 来期(2007年7月〜9月)については、今期よりは幾分緩和されそうですが、建設業はさらに悪化すると見ている企業が多いなど、これからの推移が懸念される状況です。


業界天気動向図

項目 売  上 採算(経常利益) 資金繰り
   年

      月

業 種
H18
7

9

10

12
H19
1

3

4

6
H18
7

9

10

12
H19
1

3

4

6
H18
7

9

10

12
H19
1

3

4

6
製造業
建設業
小売業
サービス業


各項目については次により表示した。
区 分 増 加 やや増加 横ばい やや減少 減 少 大幅に減少
好 転 やや好転 やや悪化 悪 化 非常に悪化
DI値(前年同期比) 20.1〜 5.1〜20.0 5.0〜△5.0 △5.1〜△20.0 △20.1〜△35.0 △35.1〜
表 示
快晴

晴れ

曇り

小雨


豪雨



今期直面している経営上の問題点

製造業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 需要の停滞 製品ニ―ズの変化
生産設備の不足・老朽化
原材料価格の上昇
製品(加工)単価の
低下・上昇難
  17.9 17.2 - 13.8 - - - - 17.9 10.3
建設業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 請負単価の低下・上昇難、官公需要の停滞 材料価格の上昇
民間需要の停滞
新規参入業者の増加
事業資金の借入難
  - 26.9 - - - 11.5 - - - 7.7
小売業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 購買力の他地域への流出 大型店、中型店の進出による競争の激化 消費者ニーズの変化 需要の停滞 仕入単価の上昇
  25.6 24.4 32.6 22.0 9.3 17.1 14.0 9.8 4.7 7.3
サービス業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 利用者ニーズの変化 需要の停滞 新規参入業者の増加
店舗施設の狭隘・老朽化
材料等仕入単価の上昇
  20.0 26.5 13.3 17.6 - 11.8 - - 10.0 8.8

(数値の左は前期構成比、右は当期割合を%で記す)



[1. 「人財」に対する投資を]
 2007年度の中小企業白書によると、小規模企業の教育訓練はOJT(職場内教育)が中心で、それも計画的に行っている企業は少なく、「自己啓発に対する支援」や「入社後の多様な職務経験(ジョブローテーション)」について力を入れている企業は少ないようです。しかし、キャリア形成の観点からはこれらにもっと力を入れていく必要があり、これからの経営は「人財」に対する投資が必要不可欠です。「人材格差」が「経営格差」にそのまま直結するといっても過言ではないと思います。

[2. 事業承継について]
 中小企業では事業承継対策も大きな課題となっており、具体的準備に向けて、計画的に行っていくことが大切
です。事業承継の大きなポイントとなる後継者についても教育をしっかり行い、経営に必要な実務経験だけでな
く、他社での修行や国内・海外留学を通して財務・税務、マーケティングなども含めた多様な知識・経験を習得
させることが、これからの時代特に必要になってくるのではないでしょうか。