みえ商工会だより  

景気依然好転の兆し見せず
−平成16年1月〜3月期 中小企業景況調査報告書概要−
嘱託専門指導員 中川すみ子

 

 日銀の3月実施の短観、企業短期経済観測調査によると、企業の景況感を表す業況判断指数(DI)は企業業績は4期連続の改善となり、大企業製造業はプラス12で、非製造業でもプラス5と約7年4カ月ぶりにプラスに転じたとあります。
 しかし、商工会地区の中小企業の今期(2004年1月〜3月)の業況を主要景況項目について前年同期比で見ると、製造業、建設業では、売上高は苦戦の状況が一段と濃くなっており、小売業、サービス業では改善したとはいうものの、依然高いマイナス値が続いています。
 設備投資についても、非常に低調な実行率で、来期投資計画を持つ企業も最も高い製造業でも7.3%と、非常に少なくなっています。
 このような状況ですが、技術力・経営力を重視し、高い競争意欲を持っている中小企業は多いことから、電子市場化に対応するべく、IT化への対応を進め、経営の効率化・高度化を進めていくとともに、より高付加価値の製品、サービスの開発・提供に努めていくことが望まれます。


主要景況項目

* 売上高 採算 資金繰り
* 前 期 当 期 前期比 来期予測 前 期 当 期 前期比 来期予測 前 期 当 期 前期比 来期予測
製造業 △17.1 △36.6 △19.5 △39.0 △36.6 △17.5 +19.1 △20.0 △12.5 △17.5 △5.0 △22.5
建設業 △34.8 △52.2 △17.4 △47.8 △47.8 △43.5 +4.3 △30.5 △21.7 △30.5 △8.8 △34.8
小売業 △58.4 △45.9 +12.5 △29.2 △41.7 △41.7 0.0 △29.2 △25.0 △25.0 0.0 △29.2
サービス業 △40.6 △29.0 +11.6 △21.0 △36.1 △23.6 +12.5 △15.8 △19.4 △18.9 +0.5 △13.5

 

経営上の問題点

製造業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 需要の停滞 製品(加工)単価の低下・上昇難 生産設備の不足・老朽化、
取引条件の悪化
大企業の進出による競争の激化
ほか2項目
  35.9 35.1 17.9 18.9 8.1 5.4
建設業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 請負単価の低下・
上昇難
官公需要の停滞
民間需要の停滞
新規参入業者の増加 大企業の進出による競争の激化
ほか2項目
  31.8 31.8 22.7 9.1 9.1 4.5
小売業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 大型店・中型店の進出による競争の激化 購買力の他地域への流出 同業者の進出
販売単価の低下・上昇難
消費者ニーズの変化
  41.3 36.6 17.4 18.2 13.6 0.0 4.5
サービス業 1位 2位 3位 4位 5位
1位にあげる問題点 利用者ニーズの変化 新規参入業者の増加 人件費以外の経費の増加 大企業の進出による競争の激化
ほか3項目
  13.3 22.6 20.0 19.4 0.0 9.7 6.5

(数値の左は前期割合、右は当期割合を%で記す)

 

〔IT化の推進について〕
 わが国では商品構成、サービス等の本質的な差別化が図りにくいので、常に顧客指向の視点で、顧客のニーズにきめ細かく対応することで、利便性と満足度を高めていくことが、固定客を増やすことであり、それが口コミ等でさらに顧客の増加につながることでもあります。
 企業におけるIT化とは,企業戦略の道具、競争に勝つための道具であり、ITは経営戦略そのものともいえます。ただ、単に経営の効率化と合理化という名目の元に、業務の効率化やコスト削減を進めていくだけでは、それは単なるOA化にすぎません。
 変化の時代にあっては、市場・顧客からの情報を直接、正確かつ迅速にキャッチする経営システムと情報システムを構築し、顧客とのコミュニケーションを確立していくことが重要です。その成果として顧客満足の得られる商品構成・品揃え、サービス、販売促進につながるよう、常にその見直しと改善を図る契機としていくことが求められます。