みえ商工会だより

春の陽ざしいまだ遠く

−平成15年10月〜12月期  中小企業景況調査報告書概要−

嘱託専門指導員 中川すみ子

 

企業短期経済観測調査や月例経済報告などでは「改善」「回復」という表現がされていますが、商工会地区の中小企業の今期(2003年10月〜12月)の業況は主要景況項目に見るとおり、マイナス幅が拡大している項目が少なからずあり、とても回復に向かっているとはいえない状況です。
 業況の改善のためには何と言っても、売上を上げる必要がありますが、小売業では減少する顧客を食い止めるために、「顧客の維持・離反戦略」が問われています。この考え方は既存顧客をいかに固定客化し、維持していくかという視点と一人ひとりの顧客にどれだけ多く買ってもらうかという視点に立つ考え方ですが、むろんサービス業にも共通する考え方であり、製造業、建設業にあっても対象とする顧客の違いこそあれ、基本的には同じといえましょう。
 厳しい経済環境下でありますが、雇用の創出・拡大に大きな役割を果たす中小企業が元気を取り戻さなければ、我が国経済の活性化もありえません。新しい時代に生きる企業経営者としての自覚を高め、従業員だけでなく、自身の能力開発にも取り組み、果敢に経営革新を進めていかれることを希望します。

 

主要景況項目

*

売上高

採算

資金繰り

* 前 期 当 期 前期比 来期予測 前 期 当 期 前期比 来期予測 前 期 当 期 前期比 来期予測

製造業

△12.1 △17.1 +12.9 △17.1 △21.9 △36.6 △1.9 △26.8 △12.5 △12.5 +5.5 △25.0

建設業

△52.2 △34.8 △4.3 △43.5 △43.5 △47.8 △11.7 △34.8 △30.5 △21.7 +4.3 △26.1

小売業

△55.3 △58.4 △0.2 △46.8 △42.6 △41.7 +6.4 △46.8 △36.9 △25.0 △0.1 △39.1

サービス業

△31.6 △40.6 △3.9 △23.7 △31.6 △36.1  +4.5 △26.3 △13.2 △19.4 +3.5 △18.5

 

経営上の問題点

製造業

1位

2位 3位 4位 5位

1位にあげる問題点

需要の停滞

製品(加工)単価の低下・上昇難

大企業の進出による競争の激化 生産設備の不足・老朽化 熟練技術者の確保難
  33.3 35.9 27.8 17.9 2.8 7.7 5.6 7.7 5.6 7.7

建設業

1位

2位 3位 4位 5位

1位にあげる問題点

請負単価の低下・上昇難

民間需要の停滞 大企業の進出による競争の激化 取引条件の悪化 官公需要の停滞

 

22.7

31.8

13.6

18.2

9.1

13.6 9.1 13.6 31.8 13.6

小売業

1位

2位 3位 4位 5位

1位にあげる問題点

大型店・中型店の進出による競争の激化

購買力の他地域への流出

同業者の進出

販売単価の低下・上昇難 需要の停滞

 

28.3 41.3 17.4 17.4 13.0 13.0 8.7 10.9 13.0 8.7

サービス業

1位

2位 3位 4位 5位

1位にあげる問題点

新規参入業者の増加

利用者ニーズの変化 店舗施設の狭隘・老朽化 利用料金の低下・上昇難 大企業の進出による競争の激化、需要の停滞

 

13.8 20.0 13.8 13.8 13.8 10.0


(数値の左は前期割合、右は当期割合を%で
記す

 

〔今後の経営について〕

1.経営管理力の強化
 個人企業であれ、法人企業であれ、規模の大小は問わず、経営管理力の確立と強化は必要です。個人の家庭でも夫なり妻なりがいくら稼いできても、家計管理がまったく出来ていなかったら、その家庭は危機に瀕し、早晩崩壊してしまうという危険性が高くなります。企業にしてもそれは同じことです。
 年に一度の決算だけではなく、売上や利益の動向がどうであるか、常に目を光らせて、計数データを分析し、読み取る能力をぜひ身に付けていただきたいと思います。

2. 新しいマーケティングの考え方を取り入れる
 小売業やサービス業は商品やサービスを提供して対価を得ているわけですが、単に自企業の商品やサービスを提供するだけではもはや顧客の支持は得られなくなってきています。変化する消費者に対応していくため、新しいマーケティングの考え方が出てきています。イクスピアリアンス・マーケティングは消費者に商品を購買させることよりも、商品やサービスの消費過程を通して、楽しさや喜びを提供しようとするマーケティングです。そのためには消費者志向を徹底させ、マイクロマーケティングで言われているように、販売促進策ではなく、購買促進策の観点に立って、売上の向上を目指すことが求められます。