みえ商工会だより

景気依然一進一退の推移

−平成15年7月〜9月期  中小企業景況調査報告書概要−

嘱託専門指導員 中川すみ子

 

日銀が発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は米国景気の回復期待など輸出環境の好転による企業収益の改善や、株価上昇を反映し、大企業製造業で2期連続改善しました。しかし、非製造業は横ばいであることや、最近の急激な円高は反映していないことから、先行きの不透明感を拭う状況にはなっていません。個人消費も冷夏の影響をそれほど受けなかったようですが、財布の紐を緩めるまでには至っていないようです。
商工会地区の中小企業においては、一進一退の状況が依然続き、マイナス幅が縮小した景況項目についても、
マイナス値自体が高いために改善の実感を伴うまでには至っていません。
来期(15年10月〜12月)も主要景況項目全般にわたって、好転を予測する企業は少なく、好転は期待薄と考えられます。

 

主要景況項目 

*

売上高

採算

資金繰り

* 前 期 当 期 前期比 来期予測 前 期 当 期 前期比 来期予測 前 期 当 期 前期比 来期予測

製造業

△25.0 △12.1 +12.9 △17.1 △20.0 △21.9 △1.9 △26.8 △25.0 △12.5 +5.5 △25.0

建設業

△47.8 △52.2 △4.3 △43.5 △31.8 △43.5 △11.7 △34.8 △30.4 △30.5 +4.3 △26.1

小売業

△55.1 △55.3 △0.2 △46.8 △49.0 △42.6 +6.4 △46.8 △45.8 △36.9 △0.1 △39.1

サービス業

△27.7 △31.6 △3.9 △23.7 △36.1 △31.6 +4.5 △26.3 △22.2 △13.2 +3.5 △18.5

 

経営上の問題点

製造業

1位

2位 3位 4位 5位

1位にあげる問題点

需要の停滞

製品(加工)単価の
低下・上昇難

製品ニーズの変化 生産設備の不足・老朽化、熟練技術者の確保難 -
  44.4 33.3 27.8 27.8 2.8 8.3 - 5.6 -

建設業

1位

2位 3位 4位 5位

1位にあげる問題点

官公需要の停滞

請負単価の
低下・上昇難
民間需要の停滞 大企業の進出に
よる競争の激化
ほか2項目

 

30.4 31.8 26.1 22.7 17.4 13.6 9.1

小売業

1位

2位 3位 4位 5位

1位にあげる問題点

大型店・中型店の進出による競争の激化

購買力の他地域
への流出

同業者の進出
需要の停滞
- 販売単価の低下・
上昇難

 

20.5 28.3 22.7 17.4 - 13.0 - - 9.1 8.7

サービス業

1位

2位 3位 4位 5位

1位にあげる問題点

需要の停滞

店舗施設の
狭隘・老朽化
新規参入業者の増加
利用者ニーズの変化
大企業の進出による競争の激化
ほか2項目

 

30.8 20.7 3.8 17.2 13.8 6.9


(数値の左は前期割合、右は当期割合を%で示す)

 

 〔今後の経営について〕 
1. 後継者の養成
  後継者が定まっていない企業が多いことが顧客の年代と経営者の年代にギャップが生じ、販売・サービス・接客等で顧客満足を得られない原因の一つになっているのではないかと思われます。店舗施設・陳列等に若い感覚が見られず、品揃えも高齢者向け商品が主体になってしまって、流行商品や新しい商品が少ないなど個店の魅力の低下につながってはいないでしょうか。
後継者も息子や娘など身内に限ることなく、もう少し幅を広げて、たとえば意欲のある従業員に継いでもらうということも選択肢の一つだと思います。
中小企業庁は、16年度の創業塾について、創業予定者に加え、新事業展開等を目指す者や若手後継者等を対象にした「第二創業コース」を新たに設定し拡充を図ります。新しい時代の企業経営の能力をいかに開発していくかについて、こうした創業塾に後継者や後継予定者を派遣してみるのも、一つの方法であると思います。

2.財務管理等経営管理面の強化を図る
 厳しい経済環境の中で、中小企業はさまざまな問題点を抱えていますが、中でも金融問題は中小企業にとって大きな問題点です。金融問題に頭を悩ませるのは、根本的には売上不振に尽きるでしょうが、中小企業の経営者は一般的に数字に弱い人が多く、財務管理能力に乏しい傾向とも無縁ではないものと思われます。これからの経営者は技術面の向上や対外交渉力の強化はもとより、財務管理等企業内部の経営管理面の強化にも力を入れていくことが求められます。